大人の少年で、僕はありたい。

コンサルのお仕事やっています。 このブログには、自身の経験からくる「大学時代」と「就職活動」、そして10代の頃に知りたかった社会のリアルを書いています。

中小企業の課題の本質は「事業存続」にある 〜とある企業のブランディングプロジェクトの中で感じること〜

幼児教育のインターナショナルスクールを経営する、とある関西の会社のコンサルをしている。

今の創業者がつくりあげ、早30年の月日が経とうとしている。

 

提案をした時の根幹は、ブランディング。

30年が経つ今のタイミングで改めてメッセージを作り直しませんか。

そもそも御校の理念や目指す先はなんですか?という問いと、じゃあ、その言語化を一緒にやりましょう、というもの。

1年ものプロジェクトに対し、数百万の契約をしていただいた。

 

社長や古株のメンバーから現場の先生たちまでをヒアリングし、その想いを組んだ上でのブランド作り直し、そしてメッセージを言語化する。

社長はもちろんそこに惹かれて契約をし、今一緒にプロジェクトに取り組んでいるわけであるのだが、

実は、その提案をした際に、この企業の本質的な問題は「ブランディング」とは別のところにある、と思っていた。思っていたというよりは、気づいていた。

 

その会社の本質的な課題は「事業継承」である。

「事業存続」と言い換えてもよくて、要は、創業者である自分が引退を考えた時に、どのように事業を継承し、今の事業体を存続させていくのか?というのが潜在的にあるということが分かり、

「ブランディング」によって根幹を見つめ直しませんか?それらを浸透させませんか?

という提案をしたということ。

 

中小企業の経営者の頭の中にあるのは、十中八九で「いかにこの事業体を存続させていくか?」ということ。

もちろん社内の人にはいえなくて、相談できる外部の人というのも少ない。

だからこそ僕らのような立場の人が、「ブランディング」というテーマで、それまでの歴史を一緒に見直すということが必要になってくるのだと思っていて。

もちろん、それが刺さるから言っているだけではなく、素晴らしきものを展開して来たという歴史に敬意を払い、きちんとその会社の歴史や想いに寄り添うという覚悟の上で、信頼してもらい、時には痛いものも含めて一緒に見つめ直していく。

簡単なことではないけれど、とても価値ある仕事だと僕は思っている。

 

先週、その会社が展開する一つの校舎に見学に行って来た。

今までもいくつか見て来た中で、一番大きな校舎である。

 

目の前に公園があり、保育園児(たぶん4〜5歳くらい)の子供たちを連れ、先生方が一緒になって公園で遊ぶ時間。

一人の先生が見れる園児の数は限られており、少人数のチームのような形で、かたやブランコで遊んだり、滑り台で遊んだり、かけっこをしたり。

先生たちがすごく上手くバランスを取っている現場を見て、いい学校だなあと率直に思った。

 

園児同士がふざけあって少し喧嘩っぽくなると、その場できちんと叱る。

走り回って危なっかしくても見守りつつ、英語でコミュニケーションを図る。

先生同士がうまく連携をしながら、40分くらいのレクリエーション時間が終わり、気づけばお昼の12時を回ろうとしている。

 

そこから、中に入ってお昼ご飯。

無農薬のオーガニック食品を入れているということで、見せてもらったパンフレットは、僕らも普通に行きたいなと思わせるようなメニューを展開していた。

ここまでこだわってやっているからこそ、なのだと気付かされるわけで。

その現場は初めて目にした。

 

 現場の先生方は、外部の人間である僕らのことをすごく丁寧に受け入れてくださった。

年末に一度、書面のアンケートを実施したことがある。

「新たな年度に向けて、HPやパンフレットの刷新のために、今の率直な意見をください!」というような内容で各項目を作り、社長(学園長)にアンケートを集めてもらった。もちろん、ブランディングのためのヒアリング項目を入れているわけだが、現場に行って対面でインタビューを行うのは、タイミング的に微妙だと判断をした。

 

数十枚と集まったアンケートには、現場の先生方の今の考えがびっしりと書かれていて、正直感動させられた。すごくすごく真っ直ぐだった。

その後にああいう現場を見ると、圧倒的なリアル感がある。

 

お昼の時間まで一緒に見せてもらった後、別の場所へ移動して(中では話せない内容が多いため)、ブランディングのための定例の会議を行った。

いつもと同じ場所での打ち合わせだけれど、現場に乗っている熱量が残ったままにテーブルを囲むと、見えてくるものが違うわけで。

 

いい時間を過ごさせてもらっている。

ブランディングという切り口ではあるが、インタビューをして言葉に落として「はい終わり」ではない。

そこから新たな事業として、存続させていくためにどうするのか?ということが僕らに求められるものだと思っている。

 

プロジェクトも折り返しを迎え、佳境に入る。

僕らと仕事をしてよかったと思ってもらえるような、そんなものを提供できればと思いつつ。