おいしいコーヒーのいれ方(村山由佳著)シリーズ
突然だけれど、僕は村山由佳さんが好きだ。
正確にいうと、村山由佳さんの書く恋愛小説の世界観が、大好きだ。
あのどこまでも真っ直ぐな気持ち。くすぐったいようなやりとり。何か大切な宝物を見るような純粋な目(絵が書いてあるわけではないけれど、僕の中で浮かんでくるやつ)。
ところどころにアンニュイな感じが漂っていて、それでいてつまらないわけではなくて、そんな日常の中から切り取って描く恋愛観がたまらない。エロすぎないし。
というわけで、僕は10代の頃、近くの古本屋ではじめて村山由佳さんの本に出会ってから(確か中学生の頃)、貪るように彼女の書いた本を読みふけっていた記憶があります。
ちょっと前に、家の本棚(の奥の奥のあたり)を片付けていたら、懐かしいシリーズが出て来たので。
『おいしいコーヒーのいれ方』は、村山由佳さんのライトノベル小説のシリーズ。
上の写真で行くと、一番左の『キスまでの距離』がシリーズの1冊目で、『優しい秘密』がシリーズ8冊目。
本当は9冊目と10冊目まであるのだが、僕の本棚のどこかにあると思う。。(ごめんなさい)
その代わりと言ってはなんだが、僕の大大大好きな『天使の卵』という小説もちょっとだけ紹介。
『天使の梯子』は『天使の卵』の続編というか、アナザーストーリー。
僕の初恋像は間違いなくこの物語に出てくる、、、
***
さて。『美味しいコーヒーのいれ方』の一冊目は、『キスまでの距離』という本。
高校3年生になる春、父の転勤のため、いとこ姉弟と同居するはめになった勝利。そんな彼を驚かせたのは、久しぶりに会う5歳年上のかれんの美しい変貌ぶりだった。しかも彼女は、彼の高校の新任美術教師。同じ屋根の下で暮らすうち、勝利はかれんの秘密を知り、その哀しい想いに気づいてしまう。守ってあげたい!いつしかひとりの女性としてかれんを意識しはじめる勝利。ピュアで真摯な恋の行方は。
というのがこの本のあらすじ。(本のあらすじより抜粋)
なんだろう。もうこの話だけで、すごく良い。
今年は映画『君の名は。』が広く流行したけれど、やっぱり10代の頃の恋愛のピュアさというのは、とてもいい。痛いくらいに真っ直ぐで、どこまでも純粋さが残っていて、という。
主人公の勝利(かつとし)は、かれんと付き合うことになるのだけれども、すれ違いっぱなしで、その愛おしすぎて想いが空回りするところとか。もう。うん。
当たり前の日常がここまで丁寧に描かれていることがまた、僕にとってはすごくリアルだった。
いいですね。
このシリーズは1994年からの連載だが、その時僕は・・・2歳だ。笑
そこから10年以上経って、こうして遠い街の僕がこの小説を文庫本で(しかも古本屋で)手に取って読んでいるというのは、なんとも不思議な感じがする。
著者の村山由佳さんは、1993年に『天使の卵』で小説すばる新人賞という賞をとって、作家としてデビューしている。
(その当時僕は1歳なわけで、そしてその時に書かれた『天使の卵』という小説が10代の僕にとってこれほど大きな存在になるとは。)
きっと彼女はすごくピュアな心を持って、10代にしか見ることのできない景色を見ていたんだろうなあと。そうでなければ、これだけ真っ直ぐな小説は書けない。と勝手に思っています。
この本のあとがきに、
活字を追いながら、我がことのようにドキドキして頂けたなら、それほど嬉しいことはありません。
コーヒーも、小説も、同じこと。
要するに、「おいしいか・おいしくないか」、それだけのことなのですから。
というふうに書かれています。
10代の僕にとっては少しだけほろ苦いコーヒーだったなあ。
今ではそのコーヒーのおいしさが、少しはわかるようになっているだろうか。
ありがとう。
***
キスまでの距離。
おいしいコーヒーのいれ方 (1) キスまでの距離 (集英社文庫)
- 作者: 村山由佳,志田正重
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 1999/06/18
- メディア: 文庫
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天使の卵。僕は文庫本とハードカバーの両方を持ってます。
<追伸>
『おいしいコーヒーのいれ方』のサイトがあったのでご紹介。