大人の少年で、僕はありたい。

コンサルのお仕事やっています。 このブログには、自身の経験からくる「大学時代」と「就職活動」、そして10代の頃に知りたかった社会のリアルを書いています。

ジョン・トッド『自分を鍛える』(渡部昇一上智大学教授訳・解説)を読んで 〜人生の実学において、最も影響を受けた10代〜

 

僕が10代中頃の時分に、最も影響を受けた本や思想家を挙げろと言われたら、真っ先に出てくるのが渡部昇一(わたなべ・しょういち)氏です。

日本の”知の巨匠”といっても過言ではない、上智大学の渡部先生。僕の人生の指針を作った師匠というのは、間違いなく彼です。

もちろん僕は、彼に直接お会いしたことは一度もない。一度もないのだけれども、彼の執筆した著書、そして翻訳した著書、その偉大なる頭脳からほとばしる叡智から、幸運なことに僕は学ぶことができた。それも、最初の出会いは確か15歳か16歳のころ。自分の生き方がわからず、迷っていたときに彼から学ぶことができたことは、僕の人生の大きな財産です。

 

影響を受けた本というのはたくさんあるのだけれど、今回はその中から一冊。彼自身が執筆した本ではないのですが、翻訳著書を挙げたいと思います。なぜなら、僕が最初に読んだ本なので。

(一番影響を受けた氏の著書は『知的生活の方法』という本ですが、それはまた別の機会に)

f:id:Yuto-K:20161017013653j:plain

ジョン・トッド氏の翻訳本である『自分を鍛える』という本。

 

偉大なる三笠書房から出版されていて(本当に良い書物が多いと思っています。僕自身、生き方のベースをつくるうえで、三笠書房出版の本には多大なる影響をうけた)、僕がもっているこの古い本の出版は1982年で、僕が15、6歳の頃になぜこの本を読みふけっていたのかはよくわかりませんが。。

この本の前書きには、著書であるジョン・トッド氏について、訳者である渡部昇一氏は

ジョン・トッドこそ、人生論を書くに最もふさわしい資格の持ち主の一人ではないかと思う。ここには素朴でありながら強力、しかもどこを参考にしても必ず読者に好影響を与えるという、危なげのない人生の知恵が具体的に示されている。

と書かれています。その通りだなぁと。この本に書かれているのは、いわゆる自己啓発ということになりますが、よくあるハウツーではなくて、もっと骨太の、それこそ著者の根太い人生経験と、深い思考から書かれる人生論なんですね。 

 

この本からは、僕自身がこれから先に、いわゆる「考える人」として生きていくという指針を作る上で、その下地となる大きなベースとなった本です。なんども読み返した記憶と、その後がこの本には残っています。

 

書物は先人たちの人生の結晶 

先人の知恵を、書物から学ぶ。という考え方を身につけたのも、この頃。

書物という知識の源泉から人生の知恵をくみつづけよ 

という教えは、10代の僕の心に、深く刻まれています。その言葉は、

書物から人生の知恵をくみつづけること、これが読書の大きな目的である。われわれは何も知らずに生まれてくる。歴史、すなわち他の人間や世代によって積み重ねられた経験を自分のものにするには、読書によるしか方法はない。

いつの時代にあっても、人間の本質は変わらない。精神や物質を支配する法則は変わるものではない。だから、われわれは書物を利用することによって、自分の体験以外に導きの光がないまま何世紀も生きることによって得られるものと同じだけの知識を、短い人生の間に得ることができ、同様に、正しくものごとを判断できるのである。

と続いています。読書が自分の人生をつくっていく、という明確な思想を言語化できるようになったのは、この時期にこういった良質な読書をしたことが大きい。

加えて、最も大きな指針となっているのが「頭脳を鍛える」ということ。特に若い時代は、自らの頭で考えるということが大切で、世の中にありふれている情報や知識をそのまま自分の中で消化していくのではなく、きちんと自分の頭で考えること。素早くある必要はないから、きちんと消化していくこと。

そういった考えに触れてから僕は、そうだ、高校時代から僕は、テレビや新聞といった、僕にとってはノイズだったものを手放す生き方を選択するようになりました。代わりに、こういった古典を始め、さらに多くの書物を読み込み、そして考えることをするようになった。自分の考えをノートに書いてまとめる、ということをするようになったのも、ちょうどこの頃です。

 

習慣化の大切さ

もう1点、この本から学んだ大きな要素を書くならば、それは「習慣化」ということの大切さです。

『生産的な習慣・強い信念が自分を大きく育てる』という章があって、まるまる一章分、習慣について書かれています。

その章は、

人となりというのは、その人のみにつけているもろもろの「習慣」のことであると言えるかもしれない。「人間とはすなわちいろいろな習慣のかたまりである」と言っても、当たらずとも言えず遠からずである。

という言葉で始まっています。

ある種の習慣は、すべての若者が身につけてしまう。まず、時間の使い方や仕事のしかた、考え方や感情に、ある特定のパターンが生ずるようになる。すると、良くも悪くも、それはやがてその人の一部、いわゆる第二の天性になってしまうのだ。

とも綴られています。

丁寧な1日を過ごすこと。朝早く起きて、学び、自らの健康に気をつけ、健全な思想をし、ということをひとつひとつ習慣にしていく。日々を充実させる良い習慣が、より良い自身をつくっていくことにつながるのだと。10代でその思想に出会えたことは、大きな経験でした。

 

僕は10代半ばにして、こういった著書に触れ、渡部昇一氏などのような生き方に共感し、研究者であったり学者のような生き方、アカデミックなところに憧れを抱くようになっていきました。

そういったことは、また別の機会に書こうと思います。

今回は、ここまで。ありがとう。

 

自分を鍛える―人生の実学を学ぶ (知的生きかた文庫)

自分を鍛える―人生の実学を学ぶ (知的生きかた文庫)

 

 

 <追伸>

この二冊も本当によかった。

知的生活の方法 (講談社現代新書)

知的生活の方法 (講談社現代新書)

 
自分の時間 (単行本)

自分の時間 (単行本)

 

 

楽天からならこちらも好き。