読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

大人の少年で、僕はありたい。

2017年新卒で、人材業界に就職しました。 趣味は読書と、手紙を書くこと。 大人の少年で、僕はありたい。 好きなものは、雨の日とカフェオレ。

深夜0時のファミレス。 〜人の温もりが感じられる場所で〜

 

東京の夜は、冷たい。それは気温ではなく、ふとした時に感じる人との距離。

夜、地下鉄のホームの、なんとも言えない空虚感に飲み込まれそうになる。心を押しつぶしそうとする何かを懸命に振り払って、帰路につく。あの無機質感は、その無機質さゆえ、人の心を閉じ込めようとする。

もう10月だというのに、東京は暑かった。急ぎ足でホームを駆け上って、視界がひらけたあと、妙な安心感で足を緩めるのと同時に、狂いそうなくらいの寂しさが襲いかかってきて、どうしようもない気持ちになる。

気がつくと、早足で階段を上ったせいか、じっとりと嫌な汗をかいている自分に気づく。そうだ。今日は1日中スーツを着て、歩き回ったんだ。

あれ。今日は何があったんだ。なんで僕は、この街でスーツを着て足早に歩いているんだっけ。誰と、どんな話をしたんだろう。

ああ、そうだ。今日は、そうか。

ついさっきまで、人混みの中から逃げるように電車に乗り込んだ自分とは対極に、気づけばこの大きなビル街の中でポツンと取り残される、独りぼっちの自分がいて。世界から自分だけ取り残されたようなあの感覚によって、後味の悪さだけが残っている。

 

場面が変わる。

僕はいま、深夜0時のファミレスにいる。独りではなく、心を許せて、ホッとできる人と一緒に、お店の奥の方のテーブルに座る。

「ちゃんと選んで席を決めなきゃダメだよ」なんて言葉が、妙に心にしみる。温かさに包まれて、気持ちがほどけていく感覚。

「ホッとする」

ポツリと呟く自分がいる。その言葉を口にしてして初めて、それまで自分の全身がこわばっていたんだ、ということに気づく。

 

深夜のファミレスは、いいもの。そこには、人がいるから。

すごく落ち着く場所だということに、今更ながら気づかされる。いつも、人がいるから。

そこで見られる、様々な人間模様が、その味気ない場所を妙に人間らしくしているような気がして、ひとりで足を運ぶ場所としては、悪くない。そこは誰にでも、寛容な場所であるから。

 

最後にファミレスに足を運んだのは、いつだろう。

ああ、そうだ。

真夏の、それも真昼間。大都会の東京の中でも、都心から外れた下町の一角に、ひとつだけ場違いなほど現代風な建物が建っていて、僕はそこに父親と2人で入ったんだ。

それは、たった数ヶ月前のことには感じられないほど、遠い過去のように、僕の中で記憶の彼方にある。

初めて足を運ぶ、父親が暮らしている東京の下町は、東京でも珍しい路面電車が走る西武線の駅から、歩いて15分くらいのところだったか。

あの時、どんな話をしたんだっけ。なにせ、2人で会って話をするなんてのは、何年ぶりのことなんだから。

 

数年ぶりに外で会う父親は、僕の知っている頃より幾分か年を重ねたように見える。白髪も増えたような気がするし、顔に刻まれたしわが、日々、東京という街で闘っている様相を表しているような気がする。

気がする、なんて言葉を使っているけれど、それは僕自身が、うまく以前の父親の顔を思い出せないから。なのかもしれない。

 

僕は確か、自分の就職先の話をしたんだ。今まで何も話していなくてごめん。決まるまで、どうしても言えなかった。けれども、僕はいま、自分の意思で、そこを選んだんだ。

そんな風に、ひとつひとつ、僕の大学時代のことを絡めながら、言葉を選んで、話をしていった。

思い返すと、父親は僕が大学時代にしてきたことなんて、ほとんど知らない。大学時代だけじゃない。高校生の頃から今まで。いや、もっと前からか。僕が、何を考え、どんな風に世界を見て、何を感じて、どう生きてきたのか。

気がつけばもはや、全く知らない世界に進もうとしている息子を見て、何を思うんだろうか。否、何も思わないのかもしれない。男親子なんて、そんなもんだ。

 

駅までの道は2人で並んで歩いたけれど、何を話したのかは、全く覚えていない。そのあと、僕はじゃあまたね、といって、ひとりで電車に乗って、帰ったんだ。またね、と。

その時僕は、僕の中ではもう親子として会うことは完結したな、と。そんな風に思っている自分がいて、そしてその感情はそのまま僕の中にしまい込まれていった。

それがほんの数ヶ月前の話だというのは、にわかには信じがたいことではあるけれど。

 

そんなことを今こうして書き連ねるのは、なぜだろう。

僕は今年、何度もなんども東京にいった。にもかかわらず、その情景がフラッシュバックし、いろんな感情と混ざり合って、心の中をざわざわとさせるのは、初めてのことで。だからこそ、戸惑っているのかもしれない。

 

最近の僕は、どうもおかしいらしい。

今までは、それなりにうまくやってこれたのに、不思議なものだ。これからも、うまくやっていける場所を選んだつもりだった。うまく。

 

深夜に書く言葉というのは、深く心にしみる。自分で紡いだ言葉だというのに。自分の中の、奥の方。深いところにあるもので、それを言葉にしているから、なのだろうか。いや、きっと、そこに意味はないのだろうけれども、ただ、書く。それだけで落ち着くのならば。そんな自分も、受け入れてあげたい。

時計をふと見上げると、深夜2時を回っている。眠れるだろうか。

明日のために、もう一度ファミレスに足を運ぶことはしないで、今日の心地よさを大切にして眠ろう。いい時間だったな。

 

とりとめのない文章で、ごめんなさい。ありがとう。